徳島地方裁判所 昭和49年(わ)315号 判決 1974年11月08日
所在地
徳島県鳴門市北灘町粟田字湊三七番地の一
有限会社びんびの家
右代表者代表取締役
嵐英士
本籍
徳島県鳴門市北灘町粟田字湊町三七番地の一
住居
同県同市同町粟田字ハシカ谷二〇番地二
会社役員
嵐英士
昭和六年一一月一〇日生
右有限会社びんびの家及び嵐英士に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官高橋寛出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社びんびの家を罰金一五〇〇万円に、
被告人嵐英士を懲役一〇月に
それぞれ処する。
被告人嵐英士に対しこの裁判確定の日から三年間
その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となる事実)
被告人有限会社びんびの家は、徳島県鳴門市北灘町粟田字ハシカ谷二〇番地の二に本店を置き、漁介類、料理飲食物の販売等の事業を営むもの、被告人嵐英升は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人嵐英士は、同会社の業務に関し法人税を免れようと企て、
第一、昭和四五年七月二日から同四六年六月三〇日までの事業年度において、同会社の実際所得金額は三、九一〇万〇、〇八五円で、これに対する法人税額が一、三八九万九、〇〇〇円であるにもかかわらず、売上げの一部を除外するなどして得た資金で仮名の預金を設定するなど不正手段により、右所得金額の一部を秘匿したうえ、同四六年八月三一日、鳴門市撫養町南浜字東浜三九の三所在の鳴門税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五六五万二、七六〇円で、これに対する法人税額が一六五万円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度の法人税一、二二四万九、〇〇〇円を免れ、
第二、昭和四六年七月一日から同四七年六月三〇日までの事業年度において、同会社の実際所得金額は五、九六六万九、八六二円で、これに対する法人税額が二、一三五万〇、四〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段により、所得金額の一部を秘匿したうえ、同四七年八月三一日、前記鳴門税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八一四万一、五〇三円で、これに対する法人税額が二四五万九、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度の法人税一、八八九万一、一〇〇円を免れ、
第三、昭和四七年七月一日から同四八年六月三〇日までの事業年度において、同会社の実際所得金額は四、四九一万四、五四八円で、これに対する法人税額が一、五六一万七、四〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段により、所得金額の一部を秘匿したうえ、同四八年八月三一日前記鳴門税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八七八万一、七三四円で、これに対する法人税額が二四一万六、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度の法人税一、三二〇万〇、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
第一回公判調書中の証拠関係カードに記載された請求番号欄の番号2乃至114、116乃至126と同一であるから、これを引用する。
(法律の適用)
判示各所為は、被告人有限会社びんびの家についてはいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、七四条一項二号に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪所定罰金の合算額の範囲内で同被告人を罰金一五〇〇万円に処し、被告人嵐英士の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項、七四条一項二号に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、同被告人に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 青野平)
検査官請求証拠目録
被告人 有限会社 びんびの家
代表取締役 嵐英士
<省略>